【終了しました】1月20日(土)、第158回からつ塾「ウォルター・エルサッサー:その生涯と思想」

講師:大嶋(おおしま) (福岡大学名誉教授)
講師プロフィール: 1948年生まれ。東京大学在学中にフランス留学。大学院で比較文学を専攻。静岡大学、ペルーおよびアルゼンチンの大学で日本思想史と日本文学史を講じたあとパリ国立東洋文化研究所を経て福岡大学へ。福岡大学で20年間比較文学を教える。中国の中山大学国際翻訳学院に特任教授として招聘される。著書は『精神分析の都』『ユダヤ人の思考法』『福沢諭吉のすゝめ』『正宗白鳥』『知の噴火口 九州の思想をたどる』『メタファー思考は科学の母』『科学と詩の架橋』『生きた言語とは何か』『石を巡り、石を考える』など。

講義概要:ウォルター・エルサッサーは20世紀の偉大な科学者の一人であるが、その名は知られていない。ノーベル賞受賞者でなかったからか?彼のように科学の世界を横断し、どの分野でも一流だった人は、専門重視の現代において評価しづらいからだ。20世紀は一つの分野の専門家でなければならないが、それに逆らった生き方をした彼は自分のことを科学者ではなく「自然哲学者」と見ていた。科学が技術化していく時代にあって、あえて科学を哲学として捉えつづけたのである。彼が科学を社会との関係で捉えていたことも重要である。それによると、現代社会は技術革新のための科学しか求めず、本来あった哲学など無用の長物と見なしていることになる。彼はまた、社会学者と歴史家と心理学者の眼を備えていた。プルーストとフロイトの愛読者であり、「シェイクスピアか、ファラデイか、どちらを択るか」と自問さえしていたのである。多くの友人が原爆製造に向かうなか、彼は原子物理学を見捨てて地球物理学に転向し、最後は生物学に至った。このような稀な科学者の軌跡をたどることは21世紀の私たちの糧になると思う。

日時: 令和6年1月20日(土)  15:00~17:00
会場: 唐津ビジネスカレッジ  (JR東唐津駅北側、徒歩1分)
参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)