4月20日(土)、第160回からつ塾「口がかかわる機能―咀嚼・嚥下・呼吸・発声~なぜ誤嚥は起きるのか?その秘密はヒトの進化にある」

講師:中田稔氏 (九州大学名誉教授)

講師プロフィール:東京医科歯科大学と九州大学で歯学を教える。研究者としてはとくに遺伝学の手法を用いて、家族内の歯の形や顔の形の類似度を調べ、遺伝的要因の解明を進めた。アフリカやアジア諸国の現地調査を行い、口の中からみる人類学について研究を行う。瑞宝中綬賞受賞(1998)。著書としては、「ウイグル~その人々と文化」(朝日選書、1991)、「シルクロード 文明交流の過去・現在・未来」(アイネック学術出版、1993)などがある。

講義概要: 今や、肺炎は日本における死因の第3位、約7割が75歳以上の高齢者で、その多くが誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液などが誤って気道内に入ってしまう「誤嚥」が原因です。
 誤嚥が生じる一番の背景要因に進化があります。まだ動物が海水中で生活していたころ、消化管が最初に形成され、その後、陸上生活を始めたことで肺呼吸が始まりました。そのため空気の通り道である気道と、最初から有った消化管とが交差し、飲食物と空気が、同じ空間を通過するという、いわば体の設計ミスが、誤嚥の直接原因と考えられます(図参照)。しかし、一方では、この構造が出来たからこそ、言語の獲得という、人間ならではの恩恵も得ることが出来ました。
 「食べる」「飲み込む」「呼吸する」「話す」などの機能は、口腔機能を基盤として行われ、生きていくうえで重要な役割を果たしています。この口腔機能は、発達過程では言語の獲得と深くかかわり、また加齢に伴って機能が低下すると、誤嚥を招き、誤嚥性肺炎は生命の危険ともなるわけです。
 そこで、本講では、口腔機能とは何か、また、誤嚥性肺炎の発症過程について、さらにこの病気を予防する方法はあるのか、などについてお話しいたします。

日時: 令和6年4月20日(土)  15:00~17:00
会場: 唐津ビジネスカレッジ  (JR東唐津駅北側、徒歩1分)
参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)

※懇親会開催
講義終了後、場所を移動して講師を囲んでの懇親会を開催いたします。先着6名までご参加いただけます。詳しくは当日、運営スタッフにお尋ねください。