【終了しました】10月7日(土)、第155回からつ塾「開発の国際政治-サラ・ロレンツィーニ著『グローバル開発史』を手がかりに-」

講師:三須拓也(東北学院大学教授)

講師プロフィール: 1972年広島市生まれ。1996年立命館大学法学部卒。2005年名古屋大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得満期大学 博士(法学)。札幌大学地域共創学群教授等を経て、現在、東北学院大学国際学部教授。専門は国際政治史,冷戦史。国際連合の歴史や途上国をめぐる大国の干渉や開発について研究。主著『コンゴ動乱と国際連合の危機:米国と国連の協働介入史,1960~1963年』(ミネルヴァ書房,2017年)。

講義概要:世界はどのような開発思想のもとで今の姿になったのか。開発は米国、西側による覇権的事業だと一般に言われる。しかしロレンツィーニは、この捉え方に異を唱える。彼女によれば、開発とは冷戦の時代的産物であり、その歴史は米欧ソ中・国連などのアクターが織りなす国際対立に他ならなかった。

 講演では、彼女の議論を踏まえて、開発の国際政治史を論じる。ここでは、米欧ソや国連の開発思想の源流が紹介され、各類型の相互対立の歴史が論じられる。米国のニューディール政策、ソ連の社会主義的近代化、欧州帝国の植民地開発、また開発の政治性の克服を志向した国際機関の思想的特徴は何か。またそれらはなぜ冷戦の時代に競合し、現在の援助制度を作ったのか、などが議論される。

 また講演では、開発思想の別潮流、第三世界主義も紹介する。これは、主に交易における差別是正運動として、70年代の新国際経済秩序(NIEO)構想に結実した。しかし第三世界主義は、80年代に急速に衰退した。なぜか。講演では、環境破壊、資源エネルギー問題、人権問題などが、第三世界主義の解体に果たした役割を指摘し、また近年のグローバル・サウス台頭の背景についても触れる。

日時:令和5年10月7日(土) 15:00~17:00

会場:唐津ビジネスカレッジ (JR東唐津駅北側、徒歩1分)

参加費:1,000円(学生500円、中学生以下無料)