6月15日(土)、第161回からつ塾「かくれキリシタンとは何か」

講師:中園成生氏 (平戸市生月町博物館・島の館 館長)

講師プロフィール:1963年福岡市生まれ。熊本大学文学部卒(民俗学)。1988年より呼子町教育委員会勤務。93年より生月町(現平戸市)勤務。生月町博物館・島の館の開館準備に従事し、95年開館後、同館に学芸員として勤務。2023年から同館館長を務める。唐津市文化財保護審議会委員。研究分野はかくれキリシタン信仰、対外交流史、捕鯨史、漁業史など多岐にわたる。おもな著作は『かくれキリシタンとは何か』(弦書房)、『かくれキリシタンの起源』(弦書房)、『鯨取り絵物語』(共著、弦書房)『日本捕鯨史概説』(古小烏社)など。生月島や平戸市の歴史に関するトピックを島の館のホームページで連載中

講義概要: かくれキリシタンとは、禁教時代以降、キリシタン信仰の一般信者サイドの信仰内容を、仏教や神道を並存させる多信仰構造の中で保持した信仰およびそれを奉じる信者の事である。明治6年(1873)の禁制高札解除以前の信者を「潜伏キリシタン」と呼ぶ場合があるが、解除の前後で信者の信仰構造やかくれ信仰の内容に大きな違いは無い。
かくれキリシタン信者は江戸時代末期には、長崎県下の生月島、平戸島西岸・北部、浦上、外海地方、五島列島・五島灘諸島、熊本県下の天草下島西岸、福岡県下の今村、大阪府下の千提寺・下音羽に存在したが、令和6年現在は生月島、外海地方、五島中通島の一部で組織的な信仰が継続している状態である。
かくれキリシタン信仰は従来、純粋なキリシタンの信仰を禁教時代に信者が変容させたものだと言われてきた。しかし調査で明らかになったかくれ信仰の要素と、宣教師が残したキリシタン信仰の記録を比較すると、かくれ信仰にはキリシタン信仰の内容がよく保存されている事が分かる。教義を理解する宣教師の不在は、信仰内容の固定化に繋がったのである。本講座では、かくれ信仰の様相から16~17世紀のキリシタン信仰の姿を明らかにする。

日時: 令和6年6月15日(土)  15:00~17:00

会場: 唐津ビジネスカレッジ  (JR東唐津駅北側、徒歩1分)

参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)