10月18日(土)、第172回からつ塾「回想の「銀の匙」ー詩人中勘助の夢の人生」
講師:高瀬正仁氏(元九州大学基幹教育院教授)
講師プロフィール:数学者、数学史家。元九州大学基幹教育院教授。1951年、渡良瀬川上流の山村、群馬県勢多郡東村(現在のみどり市東町)に生れる。専攻は多変数関数論と近代数学史。東京大学を経て九州大学大学院修了。著作『評伝岡潔』三部作(「星の章」「花の章」は筑摩書房、「虹の章」はテコム)、『高木貞治とその時代』(東京大学出版会)、『岡潔 多変数解析関数論の造形』(東京大学出版会)、『評伝中勘助 懐郷の詩人』(教育評論社)など。訳書『ガウス整数論』(朝倉書店)、『オイラー 無限解析序説』 (共立出版) など。
講義概要:「銀の匙」の作者として知られる詩人、中勘助は明治期の半ばに神田に生れ、小日向水道町、葉山、信州野尻湖、播州阿閇村、須磨、筑前福岡、信州追分、小田原、叡山、布川徳満寺、千駄ヶ谷、上野寛永寺真如院、我孫子、房州岩井、平塚西海岸、赤坂表町、静岡服織村、中野新井町と一所不住の日々を送るなかで、読む者のこころを懐郷と郷愁に誘う数々の美しい詩篇を紡ぎました。兄嫁末子とともに崩壊の淵にあり続ける中家を支え、親友山田又吉との別れ、末子との別れ、兄金一との別れに際会し、生きることの苦にこころをさいなまれながら、山田又吉の友情を生涯の杖としてすごした中勘助の姿には、深く人生に寄せる思いを誘う力が秘められています。
本年は生誕140年、没後60年の節目の年ですが、「銀の匙」が完結して110年目にあたることにも深い感慨を覚えます。人生の後半期にはさながらもうひとつの「銀の匙」のような作品「鳥の物語」があり、雁、鳩、鶴、・・・と、12羽の鳥が歌われています。「銀の匙」とともに「鳥の物語」を取り上げて、中勘助の生涯と文学の魅力を語りたいと思います。
日時: 令和7年10月18日(土) 15:00~17:00
会場: 唐津ビジネスカレッジ (JR東唐津駅北側、徒歩1分)
参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)
