9月7日(土)、からつ塾第163回「日本文化再考」

講師:大嶋(おおしま)(ひとし)氏(福岡大学名誉教授)

講師プロフィール:1948年生まれ。東京大学大学院博士課程(比較文学比較文化)修了後、静岡大学、バルセロナ自治大学、ペルー=カトリック大学、ブエノスアイレス大学、パリ国立東洋言語文化学院で教鞭をとったあと、福岡大学教授(1995−2016)となる。現在は福岡大学名誉教授。主に比較文化的観点からの日本思想史、科学と文学の関係について研究している。最近の著書として、『科学と詩の架橋』(石風社2022)『生きた言語とは何か 思考停止への警鐘』(弦書房2023)『石を巡り、石を考える』(石風社2023)『1日10分の哲学』(新潮新書2024)などがある。

講義概要: 今の日本は己の文化を見失っている。一方、現代世界はこの文化に居場所を与えなくなっている。これはどういうことなのか?本当に、日本文化は世界の役に立たないのか?そこを問いたい。
 まず、日本文化が「半文明」の文化であることを認識したい。半文明であるとは、文明化されていながら、根底に「未開」の部分を残しているということだ。これを認識してこそ、日本は現代世界の趨勢に対して己を守ることができる。
 半文明の文化は新旧の共存を志向し、自然と人間の和解を求める。ところが、現代世界は、表向きは多様性の尊重と自然との調和を謳いつつ、実はこれまでないほどに自然破壊を進行させ、文化の多様性を否定し、世界の一律化をはかっている(「自由」の名の下に)。これでは日本文化だけでなく、さまざまな文化に居場所はなくなる。
 ところが、日本は己の文化の特徴に気づいていないために、己の立場を表明できず、世界の趨勢にただ従うだけである。これでは己の居場所が確保できないばかりか、潰されてゆく多くの文化を救うこともできない。日本人は己の文化をもっと知るべきである。

日時: 令和6年9月7日(土)  15:00~17:00

会場: 唐津ビジネスカレッジ  (JR東唐津駅北側、徒歩1分)

参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)