2月21日(土)、第175回からつ塾「現代人の病気は進化によって起きた??~進化医学事始め~その1 直立二足歩行の功罪」

講師:中田稔氏(九州大学名誉教授)

講師プロフィール:東京医科歯科大学と九州大学で歯学を教える。研究者としてはとくに遺伝学の手法を用いて、家族内の歯の形や顔の形の類似度を調べ、遺伝的要因の解明を進めた。アフリカやアジア諸国の現地調査を行い、口の中からみる人類学について研究を行う。瑞宝中綬賞受賞(1998)。著書としては、「ウイグル~その人々と文化」(朝日選書、1991)、「シルクロード 文明交流の過去・現在・未来」(アイネック学術出版、1993)などがある。

講義概要: ヒトはしばしば「進化の頂点」と表現されるが、進化とは、理想像を目指した設計図に基づくものではなく、生物が環境に適応しながら変化していく自然の過程にすぎない。進化によってある形質を獲得することが、有利に働くだけでなく、同時に不利な側面や代償(トレードオフ)をもたらすこともある。進化医学とは、こうした進化の功罪から生じる病気や不都合な諸点を明らかにして、疾病予防や治療に生かそうとする学問体系である。
そこで、ヒトが進化した過程を、次の2つの時期に焦点を当てて考察する:
● 約700万年前:チンパンジーとの共通祖先から分かれ、直立二足歩行が成立した時期
● 約7万年前以降:アフリカから移動し、多様な環境に適応していった時期
直立二足歩行は、人類進化における画期的な特徴であり、進化医学の観点からは、身体の構造と疾病の関係を読み解く鍵でもある。人間の骨格や関節、筋肉は、完全に「直立二足歩行用」に設計されたものではなく、魚類からの進化の名残を多く残している。だからこそ、骨格的に、膝や腰の痛み、歩行障害、さらには難産などの問題が生じやすい。また、狩猟採集時代(250年間~1万年間)に獲得した飢餓に堪える遺伝子と現代の生活環境との間には、ミスマッチが生じ、肥満・糖尿病・心臓病などのいわゆる生活習慣病の基となっている。このように進化の過程を知ることで、現代の生活の中で、自然食の摂取、適度な運動・身体活動や、自然との触れ合いが重視されるゆえんが、理解できるであろう。

日時: 令和8年2月21日(土)  15:00~17:00

会場: 唐津ビジネスカレッジ  (JR東唐津駅北側、徒歩1分)

参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)