6月21日(土)、第169回からつ塾「ゲーテ的科学の世界」

講師大嶋仁氏(福岡大学名誉教授)
講師プロフィール:1948年生まれ。東京大学大学院博士課程(比較文学比較文化)修了後、静岡大学、バルセロナ自治大学、ペルー=カトリック大学、ブエノスアイレス大学、パリ国立東洋言語文化学院で教鞭をとったあと、福岡大学教授(1995−2016)となる。現在は福岡大学名誉教授。主に比較文化的観点からの日本思想史、科学と文学の関係について研究している。最近の著書として、『科学と詩の架橋』(石風社2022)『生きた言語とは何か 思考停止への警鐘』(弦書房2023)『石を巡り、石を考える』(石風社2023)『1日10分の哲学』(新潮新書2024)などがある。

講義概要: ドイツの文豪として世界に知られるゲーテは、実は本格的な科学者でもありましたが、そのことは多くの人が知りません。また、彼が展開したニュートン科学に対する批判は非常に重要な意味を持っているのですが、それもほとんど無視されてきています。今回の講義では、彼の科学の特徴を明らかにし、彼のニュートン批判の骨子を示したうえで、その科学を評価してきた人々、たとえば量子力学者のハイゼンベルクの意見などを紹介し、その意義を確認したいと思います。
ゲーテの科学は、近代科学の主流とは異なり、自然をただ客観的に研究するのではなく、自然の観察主体である人間の主観をも考慮に入れるという複合的な科学です。彼の方法は、ある現象を単独で取り出して研究するのではなく、それに隣接する他の現象との関連づけをし、「森を見てから木を見る」というものですが、これも近代科学の主流ではありません。彼はニュートンのように自然を数式化することを目ざすのではなく、科学することで自然の美しさをよりよく享受できるようにすることを目ざしましたが、そのような科学こそ、これからの私たちが必要とするものではないかと思います。

日時: 令和7年6月21日(土)  15:00~17:00

会場: 唐津ビジネスカレッジ  (JR東唐津駅北側、徒歩1分)

参加費 : 1,000円(学生500円、中学生以下無料)