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「佐賀県東松浦半島の玄武岩中にレアアースを含む新鉱物を2種発見」

  • 開催日時:平成24年6月25日(月)午後7時〜午後9時
  • 開催場所:唐津ビジネスカレッジ(JR東唐津駅前)
  • 参加費:2,000円(大学生以下1,000円)

講義要旨

レアアースは現代の高度な産業技術を支える重要な元素です。
しかし、天然のレアアース鉱物の産出状態には未だに不明な点が多く残されています。
私の研究チームは国内や海外の野外調査を行い、鉱物学的研究を進めています。

佐賀県東松浦玄武岩中にイットリウム、ランタン、ネオジム炭酸塩鉱物が産出することはこれまでに知られていましたが、それらの鉱物の広域的な分布状態、鉱物学性質の変動などは不明でした。
そのため、この地域全体の野外調査を行い、試料収集をして鉱物学的分析を続けています。
この研究は2003年度卒論生の楠崎智隆君,2004年度卒論生の高井康宏君,アマチュア鉱物研究家で古賀市在住の岩野庄市朗氏と私の4名が中心となり進めました。
高井康宏君は大学院に進学し、この地域のレアアース鉱物の研究を続け2010年3月に博士論文をまとめました。

この研究の中で高井(現在エネコム(株)所属、九州大学理学研究院共同研究員)と上原は未知の鉱物を2種類発見しました。
それらの詳しい鉱物学的性質の記載を行い、2011年3月に国際鉱物学連合(IMA)の新鉱物・鉱物名・分類委員会(Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification)に申請し、同年6月に新種であることが承認されました。
以下にその新種の鉱物の特徴を示します。

肥前石(ヒゼンセキ,hizenite-(Y))
肥前石の理想化学組成はCa2Y6(CO3)11・14H2O。
玄武岩の晶洞部に産出、非常に薄い板状結晶(大きさ25-50 μm,厚さ0.04-0.2 μm)が集合しています(図1)。
肉眼では白色透明〜半透明で、強い絹糸光沢を示します。
模式地は佐賀県唐津市肥前町満越。

イットリウムラブドフェン(rhabdophane-(Y))
イットリウムラブドフェンの理想化学組成はYPO4・H2O。hizenite-(Y)と同様に玄武岩の晶洞部に産出し、六角柱状結晶(太さ約1 μm,長さ2-3 μm)が放射状に集合しています(図2)。
肉眼では黄色がかった白色〜黄色がかった茶色、半透明で、絹糸光沢〜鈍い光沢を示します。
模式地は佐賀県東松浦郡玄海町日ノ出松。

今回発見されたイットリウムラブドフェンはレアアース元素を含むリン酸塩鉱物です。
玄武岩中からレアアース元素を含むリン酸塩鉱物が報告されるのは世界で初めてです。
ラブドフェングループの鉱物は珍しく、一般に小さな結晶として見つかることが多く、これまでの研究者が見逃していた可能性もあります。
世界に広く分布する類似の玄武岩から発見される可能性もあり、東松浦玄武岩のみから産出するのか、今後の研究が必要となりました。
また、今回の研究からラブドフェングループの鉱物が東松浦玄武岩中に広く分布することがわかりました。
東松浦半島の地下深くにはレアアース鉱物が集まった鉱床が眠っているかもしれません。


図1 肥前石の電子顕微鏡写真

図2 イットリウムラブドフェンの電子顕微鏡写真

講義風景


上原誠一郎先生講義の様子

上原誠一郎先生講義の様子2

上原誠一郎先生講義の様子3


上原誠一郎先生持参の鉱石を囲んで質疑応答

紹介者長嶋昭憲氏の鉱石持参、説明資料掲示協力

上原誠一郎先生と紹介者安川さん、長嶋さん塾生を囲んで懇親会

プリンタ用画面
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