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「西欧の環境政策と日本の場合」

  • 開催日時:平成17年10月17日(月)午後7時〜午後9時
  • 開催場所:唐津ビジネスカレッジ(JR東唐津駅前)
  • 参加費:3,000円

講義要旨

ドイツの環境政策・対策の特徴は、テクノロジー重視よりも前に合理的、節約的な生活を促す対策がとられたこと、環境に配慮した生活や生産が、経済的にも「得」をするような制度、いわゆるインセンティブが環境のさまざまな面に見られる点である。

昔から実施されているゴミの資源別分別収集、公共の催しでのリユース容器利用、省エネが「得」になる制度、エネルギー源を発電と熱生産に同時に利用できる方法の奨励、学校での省エネ・節水・ゴミ減らしで光熱費が学校に返却される制度、公共交通機関の利用を促す料金体系、民間の太陽光発電や風力発電がペイする制度など、例は多様にある。
こうした対策を促進するさまざまな法律も、10年以上前からだんだんに整えられてきたのも特筆すべきである。
けれども、こうしたことが可能になったのは、70年代から一部の熱心な市民が国や自治体に対してたゆまずに声をあげ、多くの市民団体が政治家に圧力をかけてきたからである。

日本でも今ではゴミのリサイクルや太陽エネルギー利用が盛んになってきているが、多分ドイツとやや異なるのは、企業や行政主導型である、という点だろう。
個人や企業のゴミ減らしや自然エネルギー利用が経済的にペイするすぐれた制度も、まだ不十分に見える。

日本にも多数のすぐれた市民団体はあり、活動の内容もドイツよりも質が高いのだが、市民団体が一つの大きな組織となって、政治や産業に圧力をかけるほどの力になっていない、つまり政治的な力になっていない点が、これまでのドイツと異なるのではないか。

一方、ある程度の環境政策が整い、「当面の」危機がなくなったかに見える現在のドイツでは、環境問題は失業や景気の問題の背後に隠れて、市民の環境意識も低下しつつある。

本来はドイツも日本も化石燃料・化石資源を使うという点で、根本的には環境に「やさしくない」経済活動・生活をつづけているわけで、日本となんら変わらない。
長い目で見れば、ドイツも日本も化石資源・核燃料から脱し、再生可能資源に移行しなければ、経済的にもエコロジカルにも持続していくことはできない。

その点で、気候や自然資源(太陽、風、波、地熱)に恵まれ、これらを利用する技術をもつ日本はドイツを「追い抜き」、持続可能な経済・生活を成功させるチャンスがあるのではないか。

また、ドイツの環境政策の背後には、ドイツ人のメンタリティーや生活習慣、現在の政治情況も関連している。
それぞれの国の事情を考慮したうえで、よりよき地球環境をつくっていくべきだろう。

講義風景


今泉みね子先生講義「西欧の環境政策と日本の場合」

今泉みね子先生講義の様子

今泉みね子先生を囲んで懇親会

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