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「動物ドキュメンタリー -語りの比較文学-」

  • 講師:マリア・ヘスス デ・プラダ=ヴィセンテ(Maria-Jesus De Prada Vicente)
  • 開催日時:平成18年11月20日(月)19時00分〜21時00分
  • 開催場所:唐津ビジネスカレッジ(JR東唐津駅前)
  • 参加費:2,000円(大学生以下1,000円)

講義要旨

アイデンティティーを生み出すのは「文化」です。
我々人間は、まず「文化」のアイデンティティーに属する者です。
また、「社会」というものに属さざるを得ない私たちには、「社会」的なアイデンティティーもありますが、これは結局「文化」が生み出すものです。
このようなアイデンティティーは暗黙のうちに私たちに一種の「安定」を与える。
ところが、実はこうした暗黙の「安定」が崩壊する時にこそ必要となる「柱」が、「個人のアイデンティティー」なのです。
ですから、「個人のアイデンティティー」という「柱」は、「ノイローゼ」という心の病を支える「疑似的な神話」となるのです。

このような疑似的な神話を生み出したのは、歴史的にはフラ ンス18世紀の後半に生み出されたロマンティシズムです。
フランスの18世紀から19世紀にかけてのロマンティシズムはナルシシズムに依拠し、その基礎は「欠如」の感覚にあるのです。
ですから、フランス文化の根本にある「個人のアイデンティティー」という概念は「虚構」に過ぎないのです。

問題はフランス文化だけのものではない。
そうした文化を「近代精神」として受け入れようとした日本人にもあるのです。
どう見ても、フランスの近代とは何の関係もつながりもない日本人のアイデンティティーが、実にフランスの近代文化、すなわちロマンティシズムと同じ基礎に置かれていることこそ問題なのです。
つまり、そこに共通するのは「ナルシシズム」である。
今度からつ塾でお話する大事なテーマは、使い古された言葉=「ナルシシズム」です。

人間はナルシシズムという「幻想」から脱出すると、ようやく「大人」の世界に入れます。
大人とは、自分を美しく映す「鏡」を必要としない人間のことです。
現代はやっている「個人のアイデンティティー」(「自分らしさ」とか、「僕的」とか)とは、実はそうした魔法の「鏡」なのです。

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