からつ塾生きた学問を全ての人たちに

からつ塾

トップ  >  大嶋仁教室  >  21世紀の日本の役割 ー日本思想史の立場からー

21世紀の日本の役割 ー日本思想史の立場からー

  • 開催日時:平成18年6月12日(月)19時00分〜21時00分
  • 開催場所:唐津ビジネスカレッジ(JR東唐津駅前)
  • 参加費:2,000円(大学生以下1,000円)

講義要旨

21世紀の世界は、これまでと変わらず、勢力の均衡に基づいて展開している。
中東は産油を背景にしていても一大勢力となることは出来ず、ひとり中国のみがその勢力を拡大しつつある。
このような状況で、日本はいつまでも米国だのみでよいのか。
米国を離れて中国の側につくことは、事実上難しい。
両者の勢力の均衡のなかで、なんとかこれまでの地位を保つのが精一杯であるかに見える。
その均衡が崩れたら、ひとたまりもない。21世紀の日本は、きわめて脆弱な基盤に身を置いている。

このようなとき、今まで以上に思わねばならぬのは、最も近い隣国韓国の存在である。
韓=朝鮮半島はさまざまな問題を抱えて永続的緊張状態にあるが、この国との関係をしっかり立てておかないと、というか、この国との関係を最優先して行動していかないと、米国と中国という二大国の軋轢の下で、日本は潰れてしまう。
韓国とても、おそらくは同じ運命である。

そこで日韓関係であるが、古代の状況にさかのぼってこれを再編しなくてはならない。
文化と政治とは別物だという既成通念にとらわれず、文化と政治を結ぶ糸に注目したい。
すなわち、日本国の誕生は韓=朝鮮半島では実現できなかった二国(百済と新羅)の協調に基づく、ということを再認識したいのである。

韓国側ではこのような歴史的事情を早くから指摘し、日本史を韓国の立場で見ることを協調しているが、そこには国家的思惑があり、必ずしも妥当とはいえない。
韓国側の発想は、日本国の誕生の背景に半島における二国の勢力を考慮するあまり、えてして列島に先住していた「倭人」の存在を見落としがちなのである。
たとえ国家の建設者が半島からの移住者であったにしても、日本の社会的・文化的基礎は「倭人」によって形成されている。
したがって、世界文化のなかで日本を考える場合には、「倭人と渡来人の複合体」を考えるべきなのである。

古代に建設された日本国が「大和」と称された所以も、互いに争うことしか知らなかった百済と新羅が融合した事実から考えねばならない。
半島北部には高句麗があったが、これは基本的に百済に継承されたので、高句麗を除外して、百済と新羅の半島における争いを考えればよい。
半島での争いが、列島に場を移したことで終焉を見た、と考えたいのである。

では、その終焉をもたらした要因はなにかと考えると、単に列島の自然が麗しく、生活条件が半島よりよかったというだけではない。
最も重要な要因として、列島に先住する倭人のはたらきがあり、彼らの温和で従順な性格が幸いして、半島からの移住者間の衝突を緩衝する機能を果たしたと推測されるのである。
すなわち、百済と新羅という対立二項を媒介する第三者、それが倭であった。
日本国の誕生と発展には、この三者の関係、すなわち二極を媒介する第三極の構造を考える必要があるのだ。

このような基本構造を日本だと考えて、はじめて世界における日本の役割というものも見えてくる。
日本思想史には、こうした構造を表現したものが多々あり、西田幾多郎の哲学がこれの集大成だといえる。
西田哲学を学べば、日本思想の理念が見つかる。
その理念は日本国誕生の原理に忠実なものであり、しかも、21世紀の世界における日本の進むべき道を示唆するものなのである。

講義風景


大嶋仁先生講義「21世紀の日本の役割-日本思想史の立場から」

大嶋仁先生講義の様子

大嶋仁先生講義の様子

プリンタ用画面
前
特別講義(別科)の開催状況
カテゴリートップ
大嶋仁教室
次
日本文学と歴史 -あの島唄がどうして歌謡曲に?-